<?xml version="1.0" encoding="utf-8" standalone="yes"?><rss version="2.0" xmlns:atom="http://www.w3.org/2005/Atom"><channel><title>Precisionnutrition on 飛脚 / HIKYAKU</title><link>/blog/tags/precisionnutrition/</link><description>Recent content in Precisionnutrition on 飛脚 / HIKYAKU</description><generator>Hugo</generator><language>ja</language><lastBuildDate>Wed, 03 Jun 2026 00:00:00 +0000</lastBuildDate><atom:link href="/blog/tags/precisionnutrition/index.xml" rel="self" type="application/rss+xml"/><item><title>足すまえに、知る——基準値の余白と、現在地の科学</title><link>/blog/posts/know-before-you-add/</link><pubDate>Wed, 03 Jun 2026 00:00:00 +0000</pubDate><guid>/blog/posts/know-before-you-add/</guid><description>&lt;p&gt;健康診断の封筒を開ける瞬間がある。数字の列、基準値、「特記事項なし」の文字。多くの場合、その紙は引き出しの奥に仕舞われ、翌年の同じ封筒が届くまで二度と開かれない。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ところで、その紙の余白は本当に空白だろうか。基準値という名の「許容範囲」のなかで、自分の現在地はどこにあるのか。上限ぎりぎりにいる数値と、理想に近い数値は、紙の上ではどちらも「異常なし」だが、十年後の体には違う影を落とす。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id="足し算の不経済"&gt;足し算の不経済&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;書店の健康コーナーに並ぶ言葉の多くは「足し算」を語る。玄米、スムージー、緑黄色野菜、果物、各種サプリメント。「これを足せば健康になれる」というメッセージが、いまも陳列棚を埋めている。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;だが、もし日々のなかに慢性的に身体を傷めている食習慣があるとすれば、何かを足したところで、合計値はマイナスのまま動かない。穴の空いたバケツに水を注ぐ作業に似ている。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;精密栄養学の世界では、&lt;strong&gt;「足すまえに知る、知るまえに引く」&lt;/strong&gt; という順序が共有されている。引くべきものを引かずに足したサプリやスーパーフードは、体内の代謝経路で交通渋滞を起こすだけだからだ。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id="基準値と理想値の二倍の差"&gt;基準値と理想値の、二倍の差&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;血液検査の数値には、二つの「正しさ」がある。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;一つは &lt;strong&gt;臨床基準値&lt;/strong&gt; ── 病院で「異常なし」と判断される範囲。もう一つは &lt;strong&gt;精密栄養学的理想値&lt;/strong&gt; ── 細胞レベルで最適に機能する、より狭い範囲。前者の上限と後者の中央値のあいだには、しばしば数値にして二倍近い開きがある。&lt;/p&gt;
&lt;table&gt;
	&lt;thead&gt;
			&lt;tr&gt;
					&lt;th&gt;指標&lt;/th&gt;
					&lt;th&gt;一般臨床&lt;/th&gt;
					&lt;th&gt;精密栄養学&lt;/th&gt;
			&lt;/tr&gt;
	&lt;/thead&gt;
	&lt;tbody&gt;
			&lt;tr&gt;
					&lt;td&gt;空腹時血糖&lt;/td&gt;
					&lt;td&gt;&amp;lt; 100 mg/dL&lt;/td&gt;
					&lt;td&gt;&lt;strong&gt;80〜90 mg/dL&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;
			&lt;/tr&gt;
			&lt;tr&gt;
					&lt;td&gt;HbA1c&lt;/td&gt;
					&lt;td&gt;&amp;lt; 5.6%&lt;/td&gt;
					&lt;td&gt;&lt;strong&gt;5.0〜5.3%&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;
			&lt;/tr&gt;
			&lt;tr&gt;
					&lt;td&gt;中性脂肪 / HDL 比&lt;/td&gt;
					&lt;td&gt;明示なし&lt;/td&gt;
					&lt;td&gt;&lt;strong&gt;&amp;lt; 1.5&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;
			&lt;/tr&gt;
			&lt;tr&gt;
					&lt;td&gt;ホモシステイン&lt;/td&gt;
					&lt;td&gt;&amp;lt; 15 µmol/L&lt;/td&gt;
					&lt;td&gt;&lt;strong&gt;&amp;lt; 7 µmol/L&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;
			&lt;/tr&gt;
	&lt;/tbody&gt;
&lt;/table&gt;
&lt;p&gt;例えば空腹時血糖。臨床基準では 100 mg/dL 未満が「正常」とされるが、機能性医学の文脈では 80〜90 mg/dL を理想域とする報告が多い。HbA1c も同様で、5.6% の上限値と 5.0% 前後の理想値のあいだには、十年単位で動脈の状態を分ける差が潜んでいる。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「異常なし」の紙の余白には、まだ問いがある。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id="糖質の影と新しいガイドライン"&gt;糖質の影と、新しいガイドライン&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;2026 年に米国政府が公開した新しい食事ガイドライン &lt;a href="https://realfood.gov/"&gt;realfood.gov&lt;/a&gt; は、長く続いた糖質中心の枠組みを根本から組み直したものとして、世界の栄養学コミュニティに衝撃を与えた。これまで栄養指導の中心にあった「主食を多めに」というメッセージは後退し、良質なタンパク質と脂質 ── 赤身肉、卵、魚、発酵食品 ── の位置づけが上方修正されている。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;食品業界・製薬業界への波及は大きいが、背景の科学は意外と単純だ。日本でいう四大疾病 ── がん、心疾患、脳血管疾患、糖尿病 ── の発症経路の多くに、&lt;strong&gt;慢性的な高インスリン血症と糖化（AGEs: 終末糖化産物）の蓄積&lt;/strong&gt; が関与していることが、過去二十年の研究で繰り返し示されてきた。&lt;/p&gt;</description></item></channel></rss>